少し前に昭和の時代に流行った曲が令和の今の状況にマッチしているという記事を書きましたが、今日は逆に昭和には今の常識からしたら考えられない歌詞の曲があったお話を。

海援隊 ”母に捧げるバラード”(J-Lyric.net)

今なおテレビで活躍されている武田鉄矢が率いていたフォークグループ”海援隊”の大ヒット曲。武田鉄矢はこの曲で紅白に出演、その後『幸福の黄色いハンカチ』で俳優デビュー、『3年B組金八先生』でテレビドラマの主役を務めこちらも大ヒット、というのは皆さんご存知の通り。

さてこの『母に捧げるバラード』ですが、そのほとんどが武田鉄矢の語りで歌部分がほんの少しという大変珍しい曲で構成は以下のようなものです。

1.語り:母への想いを独白
2.歌:6小節ほどのごく短い歌
3.語り:母の鉄矢に対する叱咤のセリフ、この曲の大部分を占める
4.歌:上記2.のリフレイン

注目すべきは上記”3.語り:母の鉄矢に対する叱咤のセリフ”の部分。学生のテツヤに対する叱咤のセリフが延々続き、最後には以下のような強烈なフレーズが飛び出します。

-- 以下歌詞引用 --
死ぬ気で働いてみろ、テツヤ。働いて、働いて、働きぬいて、
遊びたいとか、休みたいとか、そんなことおまえ、
いっぺんでも思うてみろ。そん時ゃ、そん時ゃ、テツヤ、死ね!
それが、それが人間ぞ。それが男ぞ。
-- 引用終わり --

現代の”働き方改革”の考え方からしたら一発アウト、モラハラ認定間違いなし(笑)のフレーズですね。でも当時この曲がヒットした=皆このセリフに共感しここに母の愛を感じていた、すなわちこれが当時の常識であったのです。やがてそこに疑問を抱く人が増えるに連れその意識が変化し”働いたら休む”というのが現代の常識になった、と言えるでしょう。

つまるところ”常識は変化するものでありそれを盲信するのは危険”ということですね。その時の常識に従って正しいことをしているつもりが、後世に振り返ってみたらとんでもない暴挙だったなんてことも多くありそうです。マスク警察然り、自粛警察然り。。。

”常識を疑え”。なかなか難しいですが、やはり大切なことのようです。歌い方も然り、と最後ちょっと強引すぎ(笑)。