少々刺激的なこのタイトル、ソースはこちら。

東洋経済オンライン
老けこむ人は「声の出し方」が間違っている
1万人以上の声を聞いてきたプロが教える


確かに声は加齢と共に変化していくもので、電話の声で相手のおおよその年齢がわかってしまうことからも明らか。

そして喉に負担をかけない正しい発声を行うことが声のアンチエイジングになる、というのがこの著者の考え。

でその正しい発声と効果というのは以下の通り。
・口角挙筋を使い口角を上げ笑顔で発声する
・これにより自然と鼻腔共鳴となり喉を痛めることなく響きある声が手に入る
・大人の声変わりとも無縁になり、さらには美顔効果もある

結局のところこの著者の新刊本のプロモーション記事だったのですが、確かに楽しく歌って美顔にもなるのであれば特に女性には魅力的ですよね。

ただこの記事には”歌”という言葉が一度も出てきておらず、当方の”歌が上手くなる”ための発声”という見地からすると意を異にするところも。

例えば以下の点。

・”口角を上げ表情豊かに発声する”のをよしとしているが、高い歌唱力で定評があった藤圭子宇多田ヒカルの母)のまるで能面と比喩される無表情での歌唱は?

圭子の夢は夜ひらく YouTube

・鼻腔共鳴のみを正しい発声としているが、それ以外例えば福山雅治の響きのある低音やX JAPAN Toshiの突き抜ける高音は正しくない?

・”口を大きく開ける発声法はNG”としているけれど、これも一概にどちらがよいと言えるものではない。

例えば以下の大ヒットソング”粉雪”を歌うレミオロメン 藤巻亮太

レミオロメン 粉雪 YouTube

サビの”こなーゆきー”の”なー”のところでこれでもかというくらいに大きく開口している。これと比較する例として小田和正がカバーした”粉雪”の動画があったのだがこれは残念ながら削除された模様。

小田さんの歌唱はいつもあまり大きく口を開けることをせず、またこの”粉雪”のサビは”こなあーゆきー”の”なあー”をしゃくりながら軽々と発声している。もちろんkeyは原曲のまま。

どちらも素晴らしく、あとは好みの問題。


といろいろ書きましたが、この”美顔ボイストレーナー”の著者の言わんとすることにいささかのケチをつけるつもりはなく、ただ歌を歌う方が”口は空けない方がよいのかな”などと誤解されることのないよう”ボーカルトレーナー”の立場から本記事を書かせていただいた次第であります。