普段プロ野球とかゴルフなどのスポーツ中継にほとんど興味のない歌屋ですが、オリンピックと高校野球は見入ってしまいます。長年積み上げた努力に対して、その瞬間に評価が決まってしまうという1回性に魅せられるのでしょうか。

オリンピックの競技で各選手が見せる技にはさまざまな名前が付いていて、時にはそれがトレンドワードになったりします。古い例ですが”バサロ”や”イナバウアー”なんて流行りましたよね。

今回のリオでも例えば体操の個人総合で金メダルを獲得した内村選手の鉄棒では”カッシーナ”、”コールマン”、”伸身の新月面”などといった技名が連呼されていましたが、技が複雑すぎて名前を聞いてもイメージが湧かないので流行る気配はなさそう。。。

さて我がボーカル界?にもトレンドワードはあって、少し前は”ミックスボイス”でした。J-Popの高音化に伴い高い声を出す方法として認知され当ブログでも紹介してきましたが、最近また新しい言葉が登場。それが

”ベルティング(Belting)”。

元々の意味はシートベルトやズボンのベルトのいわゆるベルトで、動詞化して”ベルトで(人を)打つ”といった意味になり、そこから”ひっぱたく”、”かっ飛ばす”、さらには”歌い上げる”という意味を持つようになったとのこと。

そしてボーカルの技術としてこの言葉が使われる場合は、”胸声を高音域まで押し上げて出す”という意味になります。

ミックスボイスでの高音発声は美しいがやや線が細い印象になるのに対し、ベルティングでは太くパワフルな発声になるので、ゴスペルの楽曲やバラードのサビなどで力強さを感じさせたい場合に効果を発揮します。

日本のポップス・シンガーの代表的な例としては、MISIA、Superfly、AIといったところでしょうか。

では具体的にベルティングとはどういった発声なのかについて、以前TWANGでも引用させていただいたジャスティン先生に登場いただきましょう。

Ep. 13 "Healthy Belting"- Voice Lessons To The World



この中で4:20位からBeatlesの"Hey Jude"を例に歌詞"Take a sad song"の"song"を頭声と胸声とで歌い分けています。

で言葉の意味からするとこの胸声で歌った方がベルティングということになりますが、ジャスティン先生曰く”ベルター(ベルティングのシンガー)だからと言って必ず全ての音を胸声で歌う必要はなく、頭声の響きをミックスすることでヘルシーな発声になる”。

当ブログでは一貫して音域によって発声を変えることを推奨していて、ベルティングはその意味からこれと矛盾するように感じられるかもしれませんが、必ずしもそうではないことをご理解いただけますでしょうか。

ということで今回の”ベルティング”、歌に迫力が欲しい方やミックスボイスは習得したけれど何か物足りないといった方には試してみる価値がありそうです。くれぐれも胸声を張り上げて喉を痛めることのないよう、ヘルシー・ベルティングを心がけてください。

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