歌屋ボーカル研究所

     歌全般、歌唱法、声などに関するあれこれ

2012年10月

広瀬香美のボーカル・レッスン 第4回は”リズム感を養おう”です。歌うときにはどうしても”音程”や”発声”、あと”歌詞間違えないように”といったところに意識が行ってしまいちですが、”リズム”も歌を上手く歌うための大切な要素です。


-- 歌う前に”聴く”

歌屋流では”リズム”を”ノリ”として捉えています。番組で紹介されていた”オモテ拍とウラ拍”も歌屋ではノリの違いとしてこちらで説明しています。

一通り歌えてはいるのだけれど何かもの足りない、メリハリが無い、といった場合ノリが悪いことが多く、これに対して番組で紹介されていた”手拍子でリズムを取る”、”カラオケの伴奏を聴く”といった練習は有効です。

特に年配の方にはリズムが苦手の方が多く、声はよく出ているのに出だしやサビに入るタイミングがズレてしまう、といった方がよくいらっしゃいます。この場合歌うことに意識が集中して伴奏をほとんど聴いていないことが多いのです。こういった方はまず歌う前に”聴く”ことを心がけるようにしてください。

なお番組では伴奏を聴く際、”ドラムのドッドッドッドッという低い音を聞くように”と説明していましたが、これは慣れないと簡単ではありません。

この音はベードラ(バス・ドラム、通常ドラム・セットの正面にあり一番大きくて足で叩くドラム)なのですが、低音なので埋もれやすくまた聞きにくいのです。

ベードラでリズムが取れる方はそれでよいですが、もし取りにくいようであれば”チッチッチッチッ”というハイ・ハットの音を聞くようにしてみてください。こちらの方が聞き取りやすいですし、よりタイトにリズムを取ることができるでしょう。


-- ん?飛行機あたま???

”ブレスのタイミングでリズムが乱れてしまう”というIKKO、それではブレスのタイミングを掴む練習をしましょう、という流れで、まずは腹式呼吸の基礎からおさらい。

”ブレスはおなかだけでなく、背中にも空気が入ります”と広瀬講師、実際に背中を触らせたりしていましたが、これは特別なことではなくしっかり腹式呼吸ができていれば自然とこうなるのです。

ゴムボールを上から押さえると、ボールは縦に潰れ横方向360度に膨らみますね。ブレスによって下がってきた横隔膜に上から押された胴体部分も同じように膨らむイメージです。

ここまではよかったのですが、このあと広瀬講師から出たのがこの説明、”ブレスの際は身体が上下しないよう注意してください。それには自分の頭が飛行機になったイメージを持ってください。飛行機あたまです!”

・・・さすがのゲスト陣もリアクションに困ってましたね。


-- ブレスは”ヘッ”って・・・

いよいよ本題のブレスのタイミング、これは歌詞にブレスの箇所を書き込むことから始まります。これについては当ブログでも”ブレス位置のチェック”ということでこちらで詳しく説明しています。

歌屋では一般の楽譜表記にならってブレスの位置に”V”と書き込んでいきます。ときどき”ブレスのブでVですね”と思われている方がいるようですが、ブレスはBreathなのでBですね。まあ歌う上では、”ブレスのV”と覚えておいていただいて何ら問題ありません。

ところがここでもさすが広瀬講師は違います。曰く、”ブレスの位置に”ヘッ”と書き込んでいきます”。

・・・”ヘッ”ですか。いや、何でもいいんですが、歌詞の至る所に”ヘッ””ヘッ””ヘッ”って書いてあったらおかしくないですかね。

まして第2回で歌詞に”お尻の穴”マークをおそらく高音のロングトーンのところなんかに書き込んでる訳で、そのあとのブレスでとなりに”ヘッ”って書いてあったら。。。あたしゃツボっちゃって爆笑、とても歌ってられません。

ということでますます盛り上がってきたこの番組、次回も見逃せません。

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♪Singing songs changes your world.

広瀬香美のボーカル・レッスン 第3回は”正しい音程で歌おう”です。どんなによい声で歌っても音程が外れてしまっては”音痴”ということになってしまいますので、やはり音程は大事なポイントです。

広瀬流では音程へ至るにはステップがあり、前回の3ステップに加え、

4. 大声
5. 笑顔
6. 音程

という段階を経て正しく音程がとれるようになるとのことで、IKKOや荻原次晴に大きな声を出させたり、笑顔を作って歌ったりといった練習をさせていました。


-- 大声を出す、笑顔で歌う

”大きな声を出す”、”笑顔で歌う”が大切であることについては歌屋もまったく同意で、当方のレッスンでも”うぉーぃっ”と大きな声を出したり、口角を上げて笑顔で歌うことで音の響きが違うことを確認したり、といったことを行っています。

ただこれってなかなか簡単ではないんです。言ってもIKKOはバラエティに出まくっている第一線のタレント、荻原も超一流アスリート兼タレント、唯一素人の女子大生にしてもオーディションを勝ち抜いた逸材ですから、言われたことがすぐできてナンボの世界で生きるこの方達にとってこの程度はたやすいことでしょう。

でもこれがその辺を歩いている40~60代を3人連れてきてやらせることを想像してみてください。普段ささやくようにしか声を出さない女性に大声を出させる、笑顔なんかここ30年見せたことのないおっさんに笑顔を作らせる、これがどれだけ難しいか。。。ですのでまず”大声を出す””笑顔を作る”そのための方法を教えていただきたいです。


-- ハフハフ発声法???

”それでは犬のようにハアハアと息をしてみてください”との指示に素直に従う生徒達、少しでもボーカルを勉強したことのある人であれば”あードッグブレスの説明ね”と誰しもが思うこの場面、広瀬講師からの説明は驚くべきものでした。

広瀬流ハフハフ発声法・・・犬が暑くて舌を出しながらハアハアしているシーンを思い出し同じ様にハフハフすることで、のどの奥の上側が冷たくなる感覚をつかむ。

???わかりましたか?実はこれ言いたいのは”軟口蓋(なんこうがい)に音を当てる”ということですね。確かに”軟口蓋”という言葉は難しいので、当方のレッスンでは”上顎の奥の方の柔らかいところ”と言ったり、簡単なイラストを書いて説明したりしていますが、多分ハフハフしなくてもわかってもらえるかと。そもそも発声してないのに発声法って?


-- イントロを使った歌い出し必勝法

”私出だしでいつも音が外れるんです”とIKKO、対する広瀬講師の回答、”イントロの中に出だしの音を見つけて、それを口の中で発声しておく”。

これかなりの難易度で、さすがのIKKOも戸惑ってましたね。まだIKKOが挑戦している”恋の季節”はイントロの最高音=出だしの音なので捕まえることができますが、素人がおいそれとできることではありません。

また実例として広瀬講師の持ち歌が挙げられていましたが、プロ歌手は同じ歌を何千回と歌うわけで自分の全持歌についてイントロのどの音が出だしの音か覚えておくことはできても、ちょっとカラオケで歌う人にとってはハードル高すぎる。。。

とは言え出だしの第一声が大切なのは確かなので、そこを外さないため歌屋流のオススメは以下2つ。

1. 出だしを歌い出す時の身体の感覚(喉の感じ、力の入れ具合)を覚えておく
2. 前の音からの繋がりを意識、その差を感覚として掴む

例えば”恋の季節”の場合、タンタタン・タタタ・タンタタン・タタタというイントロが2回繰り返された後歌に入りますが、歌に入る直前のタタタ3つが下がってくるのに対して、”忘れ”の”わ”は結構高いところに跳ね上がるイメージなんです。

ですので下がってくるのにつられて低い音から入らないよう、力加減としてはやや張る感じ、あとイントロから歌に入る部分の”・・・タタタわっすれ”を1つのメロディとしてイメージするとよいでしょう。

これだとイントロで1つの音を捕まえるのではなく全部を口ずさんでその流れで歌に入ることができ、リズム・ノリの面でも有効、これも難しい出だしのタイミングを外さないためにもオススメです。

さらに上記2つはハモリを取るのに大変役立ちますので、ハモリで苦労されている皆さんはどうぞお試しください。


-- ド・レ・ミ・・・ドを紙に書いて張る

それを見ながら”きらきら星”を歌うそうです。えーと、単純な疑問として1オクターブ超えた歌の場合はどうしましょうか?

・・・こんなにたくさん書くつもりではなかったのですが。。。それではまた。

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♪Singing songs changes your world.

先日ご紹介した広瀬香美のボーカル・レッスンですが、当方の生徒さんも皆さんご覧になったようで、レッスンの際番組で紹介された内容につきいろいろ質問を受けるようになりました。

そこで今後当ブログにおいて、毎回の番組で紹介されたレッスン内容につき検証を行なっていきたいと思います。

第2回目のタイトルは、広瀬流「カラダで歌う」発声法~3つのポイント~です。カラダで歌うための3つのポイントとして、以下が紹介されました。

1. 声の出発点は”お尻の穴”
2. ”キリンの首”になる
3. 声を”頭上の風船”に届ける


-- ”キリンの首”、”頭上の風船”

これらのたとえは、過去当ブログにて”頭声の発声方法”として高音を出す際は”声帯から出た声が真上に進み頭の中を通り抜け、頭のてっぺんから声が出る”と説明したものに当たるでしょう。

当ブログでは他に”呼気のスピードを上げる””後頭部から声が抜ける”といった表現を用いましたが、具体的に”キリンの首”、”頭上の風船を割る”、”風船を後ろに持っていく”といったたとえを使ってわかり易く説明されているところはGOODです。これは見習いたいですね。

一点広瀬流と歌屋流で異なるところとして、歌屋ではこの発声法を高音の発声をする場合と位置付けています。広瀬香美の一連のヒット曲である、”ロマンスの神様””ゲレンデがとけるほど恋したい”といった歌を歌う場合は頭のてっぺんから声が出るこの発声になるでしょう。

逆に福山雅治が低音域で歌う場合の発声では、”キリンの首”にもならないし”風船を割る”こともないですよね。番組では特に説明がありませんでしたがどうなのでしょうか?


-- 声の出発点は”お尻の穴”?

これについて”発声の出発点は喉ではない”という点はまったく同意ですが、歌屋流では発声の出発点は”丹田”としています。

腹式呼吸は丹田を意識して行うと当ブログでも説明していますが、これをそのまま歌に取り入れブレス&発声の起点を共に丹田に置くことで、1フレーズを歌う際のブレス->第一声発声までを丹田に意識を集中することができます。

歌う際には音程や歌詞や表現といった考えなければならないことはたくさんありますので、その意味でも意識しなくてはいけない点が少ない方がよいと思いませんか?

もちろん発声練習の際など”お尻の穴”を意識してみて声が出るようであれば、取り入れてみるのもよいでしょう。特に上でも書いた高音発声には効果があるかもしれません。


-- 歌うときも”お尻の穴”を意識する?

ただ番組では歌詞カードに”お尻の穴”のイラストまで入れて実際に歌う時にそれを意識するとのことでしたが、これはどうでしょうか。

歌を歌う際に意識すべきことがたくさんあることは上で書きましたが、その中でも”歌詞のイメージを描く”ことが多くを占めることはご理解いただけるでしょう。その時に1ミリでも”お尻の穴”をイメージしたらせっかくの美しいラブソングも台無しです。福山雅治”桜坂””Squall”を歌っているときに、”お尻の穴”を意識しないでしょう(毎々引き合いに出してスミマセン)。

それにしてもNHKの正味20分程の番組の中で、何回”お尻の穴”という言葉が出てきたのか。おそらく記録に残る放送ですね。

では今日は3回目の放送がありますので、皆さんお楽しみに。

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10/2よりNHKにて”趣味Do楽火曜日「誰でも歌は うまくなる!~広瀬香美のボーカル・レッスン~」”という番組が始まりました。週1回、8週に渡り放送されるとのことです。あまりボーカルレッスンがTVに取り上げられることはないので、興味を持って第1回目を見てみました。

生徒役として、IKKO、荻原次晴、オーディションで選ばれた福岡の女子大生が登場、まずスタートはからだづくりということで、腹式呼吸や歌が上手くなる筋トレの方法などが紹介されていました。また今後の回では発声・音程・リズム・表現と続いていくそうですが、これまさに当ブログで初期に書いた”歌が上手いとは”の内容と一緒ですね。。。とさり気なく自己アピール。

証拠はこちら。
  歌うま”2011年までの総まとめ

1回目の再放送も来週あるとのことなので、見逃した皆さんもご覧になってみてはいかがでしょうか。番組内容、放送予定などは以下にあります。
  「誰でも歌は うまくなる!~広瀬香美のボーカル・レッスン~」

テキストはこちら。




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