歌屋ボーカル研究所

     歌全般、歌唱法、声などに関するあれこれ

2010年11月

ミックスボイスに続いてはこちらも高難度の技術である”ビブラート”について書いていきます。皆さんカラオケで歌われる際にビブラートを意識することはありますでしょうか?

最近のカラオケではビブラートが採点項目の1つになっていたりするので、得点を上げる目的で試してみることもあるでしょう。でもビブラート無しでも上手い人はいくらでもいますよね。プロでも松任谷由実がノン・ビブラートで歌うことはよく知られていますし、B'zの稲葉浩志もロングトーンの後ふっと裏声に抜いていくことが多く殆どビブラートは使っていません。

またビブラートというと演歌のコブシがイメージされて、何か古臭い印象があったりもします。となると”ビブラートって難しそうだし、楽しく歌えればいいや”と敬遠されてしまいがちで、事実歌屋のところでも自分から”ビブラートに挑戦したい”という生徒さんは殆どおらず、こちらから持ちかけても尻込みされる方が多いです。

ということで、ビブラートはなくてOKです・・・となると話が終わってしまいますね。でもちょっと待ってください。やはり歌う上でビブラートは重要で、それが必要なのには理由があるのです。

皆さんTVなどでオーケストラの演奏をご覧なった際、ヴァイオリンやヴィオラ、チェロ、コントラバスといった弦楽器の演奏者が、ロングトーンの後半で弦を押さえている手をせわしなく動かしているのを見たことがあるでしょう。これは他でもない、ビブラートをかけるために行っている動作です。

また金管・木管楽器においても、その技法は異なれどやはりビブラートをかけることが多いです。これに対し、ビブラートをかけない代表的な楽器が”ピアノ”です。なぜピアノはビブラートをかけないのでしょうか。

正解は”かけられないから”・・・ではなくて、”和音を出す楽器だから”です。上でビブラートをかける楽器として上げたのは、基本的に”単音を出す楽器”です。単音でロングトーンを奏でる場合ビブラート無しでは味気なく、やはり心地良く感じられるのはビブラートがかかった音なのです。

和音・単音どちらも使うギターをみるとよくわかりますが、単音でリードを弾く場合はビブラートをかけ、コードを弾くときは特殊な場合を除きノン・ビブラートですね。

もうお分かりの通り、”人の声も単音なのでビブラートが必要”、ということなのです。大分前置きが長くなってしまいました。。。次回もまたビブラートについて書いていきます。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.

先日横浜駅横のホテルにて高校の同窓会がありました。クラス会ではなく、高校3年時の全員が集まるという規模の大きなものです。県立高校ですが当時は9クラスもあって、総員約400名のうち約200名が集まり大変な盛り上がりでした。

実は歌屋はパーティというのが苦手で壁の花でものを食べまくっているのが常、特に今回ウン十年ぶりに会う人が殆どで、いったい何を話せばいいんだろ、と少々憂鬱な気分で会場に向いました。

ところが受付で一人の旧友と”おーっ”と握手をしてからというもの、次から次へと言葉を交わしていき、その後出された料理も少し手を付けただけで、昔話+今話に花を咲かせている自分がいました。

人の変わり様もさまざまで、昔イケメンだったやつがすっかりおじさんになってたり、全然印象変わってないのもいたり。女性も憧れの君がふっくら母さんだったり、目立たなかった娘がすごくかっこ良くなってたりして。

でも少なくともこの場に参加しているということは皆それぞれちゃんと頑張っているんだ、と思い、また自分も頑張っていこうという気持ちになりました。

基本”後ろは振り返らない主義”の歌屋ですが、たまにはありかも、と思った1日でした。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.

一つ前で紹介した中西さんのオリジナル曲ですが、今回歌屋は初めて”打ち込み”にチャレンジしています。”打ち込み”をご存知ない方のために誤解を恐れず一言で説明すると、”パソコンに演奏情報を打ち込んでおき、それを再生して演奏する”というものです。

つまりここで聞こえるボーカル以外の音、ドラムやベース、キーボードなどは全て実際に演奏しているのではなく、パソコンが再生しているのですね。

”打ち込み”自体はもう30年前くらいからDTM(デスクトップミュージック)としてあったのですが、当時はべらぼうにお金と時間がかかるものという認識で、お金は無く時間があったら歌とギターを練習したい歌屋としては、興味はあったもののずっと手を出さずにいました。

でも今回この曲を録るにあたりどうしてもバンド演奏が欲しくなり、ついに打ち込みにチャレンジすることに。打ち込みを行うには専用のソフトが必要なのですが、これがプロが使うようなDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)と呼ばれる何十万もするものから、それこそ数千円で買えるものまでまさにピンキリです。

で打ち込み初心者の歌屋としては当然のようにキリの方から物色していたところ、おもしろいソフトを見つけました。

  MIXTURE

MIXTURE

これは何千種類もの演奏パターンが予め納められていて、コードを指定してあとはパターンを選択するだけで曲が完成してしまう、というスグレモノです。もちろん凝ったことをやろうとすればこれに手を加えることになりますが、今回の曲ではほとんどお任せでした。なので打ち込みと言っても実際に歌屋が打ち込んだのはコードくらい。それでもここまでできてしかもこれが数千円で買えるのですから驚きです。

技術の進歩には感心する一方、”ボーカロイド”の登場によってついにボーカルも打ち込みの時代か、と思うとそら恐ろしい感じもしますが、これについてはまたあらためて書きたいと思います。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.

前回ミックスボイスシリーズの最終回と書きましたが、今回もう一回だけ書かせていただきます。というのは、このブログでも何度か紹介した中西さんが最近またYouTubeに動画をupされ、これがB'z系ミックスボイスの最高のお手本ともいうべきハイトーンボイスを披露されているので、皆さんにも是非聴いていただきたく。

  My Shout

この曲のサビでの最高音がB、更に間奏で転調して半音高くなっていますので繰り返しのサビではCまで出しています。ここまででも通常の男性ボーカルとしてはかなりのハイトーンです。

ところがその後”My Shout”と繰り返しているところで、最後にはC、更にDのロングトーンを出しています。ご存知の通り一瞬の高音は出すことはできても、同じ音をロングトーンで出すのは簡単ではないのです。ここまで出せればX Japanも歌いこなせる高音レベルです。

中西さんは歌屋のところに初めて来られたときから高音は出せていましたが、レッスンを重ねるうちにより安定感を増し厚みが出てきました。また昔からこのような高音が出せていたのか伺ったところ、”そんなに高い声が出せる方ではなかったけれどB'zを好きになってずっと練習しているうちに出るようになった”とのことでした。やはり練習あるのみ、ですね。

ところでこの曲、中西さんが歌われるとB'zの曲のようですが、B'zに詳しい方は、”こんな曲聞いたことない”と思われたのではないでしょうか。実はこれオリジナルで、中西さんが書かれた詞に歌屋が曲をつけたものです。最近はボーカルレッスンだけでなく、こんなコラボもやりながら相変わらず楽しく音楽をやってます。

ということで、次回はちゃんと次のテーマにいきたいと思います。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.

今回はミックスボイスシリーズの最終回です。一度ここでこれまで書いてきたことをまとめます。

その1. ”ミックスボイス”には”裏声を地声に近づけた発声”と”地声を裏声に近づけた発声”の2つがある
その2. ”裏声を地声に近づけた発声”のトレーニングとして、裏声をしっかりと出せるよう練習する
その3. 裏声->地声->裏声の切り替えがスムースにできるよう練習する
その4. ”地声を裏声に近づけた発声”のトレーニングとして、現在出せる高音をしっかり発声できるよう練習する
その5. ”ぐ”で発声練習を行う

そして今回のポイントは、

その6. 実際に高音の曲をいろいろ歌ってみる

です。お好きなアーティストの曲でよいですが、高音でミックスボイスを使っているアーティストとして、男性ならB'z、女性なら浜崎あゆみなどオススメです。B'zの場合初期の曲はそんなに極端には高くないので、そこから始めるのもよいでしょう。浜崎あゆみの場合発声は大変参考になると思いますが、モノマネにならないよう注意してください。

違ったタイプのミックスボイスの使い手としてさだまさし中島美嘉など、地声を柔らかく出して裏声とほとんど区別がつかない発声をする歌手もいます。

また槇原敬之西野カナなどは、同じ音程をミックスボイスと裏声とで歌い分けたりする場合もあります。同じ高さの音でもミックスだと力強い感じ、裏声だと柔らかく優しいあるいは切ない感じになるので、曲や表現によって使い分けるのです。

皆さんも好きなアーティストの聞き慣れた曲がどのような発声で歌われているのかをあらためて聴いてみてください。また新しい発見がありますよ。

歌屋ボーカルスクール
♪Singing songs changes your world.

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